絵画|古代の賢者を描いたラファエロ『アテナイの学堂』

アテナイの学堂
出典:wikipedia

古代の賢者を描いた『アテナイの学堂』は、ルネサンス期の画家ラファエロ・サンティの最高傑作といわれ、所蔵されているイタリアバチカン市国は世界遺産に登録されました。

バチカン宮殿の『審問の間』の壁の四方の壁を、神学、法学、哲学、詩学をあらわし、フレスコ画の『アテナイの学堂』は2番目に描いた作品です。

今回は画家ラファエロとアテナイの学堂に描かれた人物を説明していきます。

ラファエロ・サンティについて

ラファエロ・サンティ
出典:wikipedia

ラファエロ・サンティは、盛期ルネサンスを代表するイタリアの画家、建築家です。ラファエロの作品は、明確さと分かりやすい構成で、人間性をうたう新プラトン主義を美術作品として高く評価されています。

中略

1520年4月6日ラファエロは、熱病を患し急速に悪化し、37歳の若さで死去しました。ラファエロの遺体は、遺言通りにローマのパンテオンに埋葬されました。ラファエロの遺体が納められた、大理石の石棺には、ピエトロ・ベンボによる哀悼詩が二行連で刻まれています。
“著名なラファエロここに眠る。生前には万物が凌駕されることを畏れ、死ぬ間際には万物がその死を恐れた。
Ille hic est Raffael, timuit quo sospite vinci, rerum magna parens et moriente mori”

引用:ラファエロ・サンティ(Wikipedia)より

ラファエロが描いた21人の賢者

アテナイの学堂
出典:wikipedia

ラファエロが描いた21人の賢者は、構図全体のバランスの中で必要不可欠な役割を演じています。

自己啓発の本は自分のために読んでいる人も多いと思いますが、心理学や哲学に深くつながっています。

哲学者の思想の本質が、身振り手振りで描かれているところが見どころ。

足や手、顔の表情をつかって一人一人の人物を掘り下げているところが、観ていて飽きず読んでいる本の作者の表現を発見すると引き込まれていきます。

絵についた番号と一緒にモデルを描いたと思われる登場人物を見ていきましょう。

快楽主義者のエピクロス 

エピクロスは、快楽主義などで知られる古代ギリシアのヘレニズム期の哲学者です。

自然で必要な欲求(友情、健康、食事、衣服、住居を求める欲求)、自然だけれども不必要な欲求(大邸宅、豪華な食事、贅沢な生活)、自然でもなく必要でもない欲求(名声、権力)の3つに分類して、自然で必要な欲求だけを追求し、苦痛や恐怖から自由な生活を送ることがよいという主張です。(2番)

万物は数なりピタゴラス

ピタゴラスは、サモスの賢人と呼ばれた古代ギリシアの数学者・哲学者です。

数が内在していること、宇宙のすべては人間の主観ではなく数の法則に従うのであり、数字と計算によって解明できるという思想を確立しました。

10個の点を三角形の形に配置したテトラクテュスを紋章、有名なピタゴラスの定理があります。(6番)

新プラトン主義ヒュパティア

ヒュパティアは、東ローマ時代のギリシャ系の数学者・天文学者・新プラトン主義の哲学者です。

モデルはフランチェスコ・マリーア1世・デッラ・ローヴェレ、もしくはラファエロの愛人マルゲリーといわれています。(9番)

本質存在を提唱したパルメニデス

パルメニデスは、古代ギリシアの論理哲学的・超越思想的な学派であるエレア派の始祖です。

あるという概念自体を理性的、論理的に抽象化し、知覚可能な物理現象とは、区別、隔絶された超越的な本質存在を提唱した最初の哲学者です。(11番)

万物は一であるヘラクレイトス

ヘラクレイトスは、ギリシア人の哲学者・自然哲学者です。

万物は流転していると考え自然界は絶えず変化し、一方で背後に変化しないものロゴスを見ています。

『万物は一である』『一から万物が生まれる』と根源的な一者と多くの表面的なものとの関連を打ち出した人物です。

モデルはミケランジェロといわれています。(13番)

イデアという理想的な範型プラトン

プラトンは、古代ギリシアの哲学者です。

永遠不変のイデアという理想的な範型があり、愛の対象は『あるもの』であると唱えています。

思い込みを抱くにすぎない者の、愛の対象は『あり、かつ、あらぬもの』と、存在論と知識を結びつけています。

モデルは、レオナルド・ダ・ヴィンチといわれています。(14番)

二元的宇宙像論アリストテレス

アリストテレスは、古代ギリシアの哲学者です。

人間の本性が『知を愛する』ことにあると考え、『地上界の出来事には、必然的に天上界が作用している』という考え二元的宇宙像論といわれています。(15番)

動じない心を持つディオゲネス

ディオゲネスは、古代ギリシアの哲学者です。

徳が人生の目的で欲望から解放されて自足する、動じない心を持つことが重要だと考えました。

その思想よりも奇行や言動にまつわる逸話によって知らています。(16番)

新プラトン主義プロティノス

プロティノスは、古代ローマ支配下のエジプトの哲学者です。

人間は一者への愛によって一者に回帰することができる一者と合一し、忘我の状態に達することをエクスタシスと唱えています。

ネオプラトニズム(新プラトン主義)の創始者とされている人物です。(17番)

海から上がるヴィーナスアペレス

アペレスは、古代ギリシアの有名な画家です。

海から上がるヴィーナスなどの作品があります。

モデルは、ラファエロ本人といわれています。(R)

中央のアーチの下で地面を指しているアリストテレス、天を指してイデアの世界を唱えるプラトン

指を立てて問題をといているソクラテス、他の人と孤立して階段で寝そべるディオゲネスと、それぞれが自分の考えと向き合っています。

ラファエロは、画面右端に自画像を書き込んでいます。

物事を客観的にみる時は、一歩後ろに下がって観察すると判断できると思いますが、ラファエロも自分を画面右端に書くことで、客観的に見ているのでしょうか。

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女性の裸を描いた『三美神』

三美神
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三美神はラファエロが裸の女性の正面と背面を描いた最初の作品といわれています。

現在は、フランスのコンデ美術館に所蔵されています。

バチカン宮殿の『アテナイの学堂』を観るだけで、半日はかかってしまいます。

スィスティーナ礼拝堂は、宗教儀式やコンクラーヴェ(教皇選挙)に使われる神聖な場所です。

バチカン美術館の入場料について説明していきます。

システィーナ礼拝堂
出典:pixaday

バチカン美術館入場料

バチカン美術館は、地下鉄A線のOttaviano(オッタヴィアーノ駅)で降りて徒歩8分〜10分です。

■月曜〜土曜
9:00~18:00(最終入場は16:00)

■毎月の最終日曜
9:00~14:00(最終入場は12:30)

■夜間見学
19:00~23:00(最終入場は21:30)
※ 4/26~10/25の毎週金曜は通常の入場時間に加えて上記の時間帯で夜間見学が可能です。

■開館延長
9:00~19:00(最終入場は17:00)
※ 4/18~5/4(4/21、4/22、4/26、4/28、5/1、5/3は除く)、11/2の期間に限り開館が上記に延長となります。

■休館日
毎週日曜(毎月最終日曜は除く)、1/1、2/11、3/19、4/22、5/1、6/29、8/14、8/15、11/1、12/25、12/26 

・一般大人 17ユーロ
・6〜18歳 8ユーロ
学生 8ユーロ

一般入場チケット + バチカン庭園ツアー(Vatican Museums – Guided tour Vatican Gardens)

バチカン美術館の一般入場チケットと、バチカン庭園の見学ツアー(所要2時間)がセットになったチケットです。バチカン美術館内は自由見学が可能です。

・ 一般大人 28.5ユーロ
・ 6〜18歳 19.5ユーロ
・ 学生 19.5ユーロ

※全館でカメラ、スマートフォン、タブレットから写真はOKです。

ただし肌の露出の高い服装では入場できません。(フラッシュと三脚の使用は禁止)

また、システィーナ礼拝堂では写真撮影は禁止です。

バチカン美術館(Musei Vaticani)
zip : Viale Vaticano snc, 00165 Roma – Italy
tel : +39 06 69884676

https://www.museivaticani.va/content/museivaticani/it.html

古代の賢者を描いたラファエロ『アテナイの学堂』をご紹介しました。

心理学や哲学が好きな人にもおすすめの壁画です。

サン・ピエトロ寺院、ヴァチカン庭園もゆっくり時間をかけて観て楽しめます。

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