東山魁夷は、風景画では国民的画家といわれ文化勲章受章しました。
『静唱』は、美術館で原画を観てはじめて深く好きになった絵です。
なぜこんなに惹きつけられるのかを知りたくなり、東山魁夷が出版した『東山魁夷自然のなかの喜び「描くこと」は「祈ること」』を購入しました。
東山魁夷『静唱』についてご紹介します。
東山魁夷について
東山 魁夷(ひがしやま かいい)は、1908年の明治の終わりに、神奈川県横浜市湾岸通で生まれました。
父である東山浩介は、築地で生まれて品川で育ち、横浜で貿易商社に務めていました。その次男として生まれ3歳の時に神戸の三ノ宮へ移住しています。
少年時代が幸福だったと思えるのは、神戸には山があり海があり、須磨の海岸も文字通り白砂青松(はくしゃせいしょう)で、夏休みには淡路島の志筑(しづき)の砂浜にウミガメが卵を生みにきた、自然が豊かだった。
引用:《東山魁夷自然のなかの喜び 「描くこと」は、「祈ること」》
1931年に美術学校を卒業した後、1933年にドイツのベルリン大学(現 フンボルト大学)に留学します。1934年、日本とドイツ間で交換留学制度が始まり、第1回日独交換留学生として、ベルリン大学文学部の美術史科に入学しています。
中略
1947年の第3回日展に出品した『残照』が特選になり、日本政府に買い上げられたことから、世評が高まり、風景を題材とする決意を固め、北欧、ドイツ、オーストリア、中国など取材し、精力的に作品を発表しました。風景画の分野では国民的画家といわれ、文化勲章受章し、1999年、老衰のため90歳で死去されました。
引用:東山魁夷(Wikipedia)より
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静寂なイメージが写り込む静唱
静唱(せいしょう)は1981年の作品でパリ郊外・ソー公園を描いたものです。
単純化を極めた画面構成に独自の追求を求め、色もしぼりグラデーションで遠近感を出しているのが東山魁夷の特徴です。
なぜこの絵に惹きつけられたのかは本を読み漁って、
“『描くこと』は『祈ること』”という東山魁夷の創作の心と、自分がガラス製作をしている時に、『モノを創ることは、祈ること、願うこと、感謝すること』と似ていることです。
自然に感謝しながら自然によって生かされている人間も、自然の一部と感じていることや心の中の葛藤が共鳴していることを感じました。
上の写真は、自分が東北地方で撮った写真です。
心の奥底の部分が似ていると作品にも共通することがでてくると感じています。
青緑をつかった風景画が印象的な東山魁夷の絵画ですが、ルネサンス期の巨匠ジョルジョーネが描いたジョルジョーネのテンペスタも、嵐を緑と青で表現し、詩的な落ち着いた雰囲気を全体に表現しています。
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代表的な唐招提寺御影堂の障壁画
東山魁夷の代表的な障壁画はぜひ見ておきたい作品です。
1970年に奈良の唐招提寺から依頼され、『山雲』『濤声』『揚州薫風』『黄山暁雲』『桂林月宵』の5部の襖絵と、床の壁面の全68面を2期に分けて10年の歳月をかけ描きあげました。(総延長76m)
テーマである鑑真の故郷中国生まれの水墨技法で描いています。
東山魁夷は岩絵具をつかって作品を描いています。
日展への出品作など代表作の多くは東京国立近代美術館と、長野県の長野信濃美術館に『東山魁夷館』を増設し寄贈された作品が展示されいます。
日本画、水墨画など素敵な作品が展示されています。
好きな画家さんのことを知ると自分の心が少しわかることもあります。
たくさんの絵画に触れることで心が豊かになるので、好きな絵を見つけて楽しんではいかがでしょうか。
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